す ず き/suzuki architects

十間の家


十間の家

敷地の前は緩やかな谷になっており、時折ローカル鉄道の氷見線がゆっくり走り抜けていく。のんびりとした自然の雰囲気に囲まれ、開けた視界を得ることができる。そこに「真っ直ぐな家が欲しい。」と言う施主からの要望があった。理由は「周辺の風景には真っ直ぐな物がないから。」と言うことであった。確かに、道も曲がり目の前に広がる緑溢れる風景には真っ直ぐな物はない。そこで私達は、周辺環境と対比的に建築を作り、お互いの存在が強調されるような風景を作り得ないかと考えた。まず生活の中でも馴染みのある尺(畳)モジュールを主体とすることで、意思の疎通を測りやすくした。一枚の窓は畳サイズになっている。それら大きな窓は腰窓とすることで、軒先から巻いて落ちてくる雪に対応し、また、室内にいて腰壁が敷地の境界を隠すことで、浮遊感が得られるようにもなっている。そして一間ごとに繰り返される窓と壁は周囲の自然環境に対して秩序をあたえ、鋸壁の隙間のような窓からは、周囲の自然の風景をしっかり享受できる。そして、強い潮風と冬の雪に対するシェルターの機能を体現化しているように感じている。また、ZEH Orientedの規格にも適合している。この建築がもたらす秩序(モジュール感)と曲線が溢れる自然の風景はお互いの存在をしっかり強調しあっているように感じている。

意匠設計:山村尚子+鈴木宏亮/すずき
構造設計:寺戸巽海/寺戸巽海構造計画工房
施工会社:塩谷建設

all photos by Kenta Hasegawa