す ず き/suzuki architects

smooth wall house


smooth wall house

築45年になるビンテージマンションの一室の改修計画です。北欧家具と、スヌーピーが大好きな住い手が、かつて家族が集い、共に暮らしていたこの場を、今後もその想い出を楽しく保管できるように、セカンドハウス・アトリエ・ギャラリーとして、時には友人を気軽に呼んで、おしゃべりや食事を楽しむ、住まいでありながらも、様々な使い方が出来る場にしたい。と言う依頼を受けました。

マンションの住戸割りは、一般的にテラスに面した窓面から、細長いプロポーションになり、玄関に近づくにつれ、暗い雰囲気になってしまいます。しかし、都心に持つ別荘としても、玄関の扉を開いた瞬間から、日常とは少し違った空気感を持つ住まいになるよう、デザインすることを考えました。

玄関からテラスに面した窓面まで、緩やかに曲がる北欧家具のような木壁面が、窓から入る光や風、生活の動線を遮ることなく、スムースにつなげます。曲面の外側では、部屋のどこにいても一体感のある、明るく、木の風合いを感じられる、よりパブリックな雰囲気を創り出しています。それとは逆に、曲面壁の内側は、窓型の小さな扉にすることで、外部からの情報をコントロールし、円弧の壁に包まれるような、落ち着いた雰囲気のあるプライベートな空間になっています。

曲線のラインを引くと言うシンプルな操作ではありながら、まるでスヌーピーのお腹の様な、どこか可愛げのある曲面の壁が、非日常感がありつつも、大らかで居心地の良い空間をつくり出しています。

設計意匠:山村尚子+鈴木宏亮/すずき

建設会社:田工房

all photos by Kenta Hasegawa