す ず き/suzuki architects

窓と風の家


2018年 新建築「住宅特集」12月号 掲載

窓と風の家

東京都品川区の下町に建つ二世帯住宅です。古い木造住宅が密集して建っているこの地域は、通常であれば、耐火性能の規定を満たす無機質な材料を建物の内外に使用し建築することになります。しかし、外壁をより耐火性能を上げることで、東京都建築安全条例をクリアできる仕様とし、内部空間に木仕上げを使用できるよう計画しました。外観は、無機質な素材でシンプルに仕上げておりますが、建物の内部に入ると、木仕上げをふんだんに使用し、木の香りと風合いを感じる、とても温かみのある空間になっています。また、各居室では、二方向以上に必ず窓があるように計画し、どこにいても心地よい風を感じることが出来るようになっています。沢山開いた窓で街に吹く風を建物全体に取り入れます。階段を介して、立体的な風の流れも生まれます。都市の自然を存分に感じることができる住宅になっています。やがて時が経ち、それぞれの窓が家族の暮らしの表情を映し出し、無機質な外観にも微笑ましさを造り出す。下町らしい愛される風景になっていくことを想像しています。

意匠設計:山村尚子+鈴木宏亮/す ず き
建設会社:ホームビルダー株式会社

all photos by Kenta Hasegawa